万年筆ホルダー

万年筆が持ちたくなるようなホルダーを作りたい

実際の発端は、保管中に万年筆のキャップが勝手に外れてしまうことがあったので、それを防ぎたい。カバンや机の中に収納するとき、傷がついたりしないように大事に扱いたい。そんなことを考えて作り始めました。

 

しかし、作り進めていくうちに改めて「万年筆」自体が非常にいいものだったことに改めて気づきました。そこで、万年筆そのものの良さを伝え、万年筆を持ちたいと思うきっかけになるようなものを作れたら、という気持ちで開発を進めていきました。

「万年筆だとなくさない」

そもそも物の管理が得意ではないので、筆記具もやはりなくしたことがあります。今考えてみると筆記具への意識というものがそもそも「なくしてもかまわないモノ」だったのかもしれません。

 

「なくさない」とはどういうことか、つきつめてしまえばそれを「なくしたくないモノとして意識する」ということなんじゃないかと思います。

 

何度もインクを補充し、ずっと使っていくという思想。長い時間に耐えうるデザインや設計。ペン先は使っていくうちに、持ち主の持つ角度に癖がついていって馴染んでいきます。

 

そういうものを持って、それを手入れしながら使っていくことで、結果的になくさない、なくしたくないと思うようになります。それは使い捨てるような筆記具の所有の仕方より楽しいのでないか、そんなふうに思います。

 

万年筆を使い始めてから10年以上になりますが、途中で譲り受けた別の万年筆も使うようにはなりましたが、なくすことなく使い続けています。大量にストックしがちだった、ボールペン等の整理まで進みました。基本的には「この万年筆」を使っていたいと思うので、予備を持っていたいという感覚がなくなっていったからだと思います。

気にしたいモノと過ごした幸せ

ペンがたくさんありすぎるという現代的視点に立ったときに、万年筆を持てばものを減らせるという一つのメリットが見えてきますが、気にかけていたいものを身の回りに置くということはものを所有することの本来的な醍醐味なんではないかと思います。

 

 万年筆と過ごした時間の全てが気持ちいいことだけだったわけではありません。最初のうち上手く使えなくて四苦八苦したり、実は、自分の万年筆のペン先があまり良いものでなかったことを知って、がっかりしたり(ペンドクターに見てもらって発覚。ある程度調整してもらいましたが、きれいには直せないとのことでした)。

 

そういう万年筆とのざらついた時間が更に万年筆について知るきっかけになったりして、それは本当に楽しかったです。考えるほどに、以前の無数のボールペンを単なる機能性の面だけで無意識的に使っていたころより、一本の万年筆を意識して大事に使いたいと思えたことはずっと幸せなことでした。

 

万年筆が生活に関わってくる力強さが、革製のホルダー作りにまで至らせた魅力だと思います。

書き心地の面白さ

あたり前になってしまってついつい書き忘れて来ましたが、自分に馴染んだ万年筆のスルスルとした書き心地は気持ちいいです。

 

インクを紙に押し付けているのではなく、たださっと乗せていくかのような感覚は一般的な筆記具では味わったことがありませんでした。「文字が書ける」という意味では他となんら変わりませんが、別の仕組みによりそれをやっている感じです。別の書く世界の面白さがあります。

「脳みそが液体になって腕を通ってペン先から紙に直接流れ出る感じ」というのもなんだかわかります。

長く使っていけるものを

「万年筆のよさを伝えたい」といっても、特別な仕掛けを思いつくというより、いつものように長く使っていきたくなるものを大事に考えて作りました。

 

何年も何十年も使える万年筆と同じ時間にできるだけ耐えられるように。

 

ある程度のホールド性を維持しつつも、出し入れしやすい革の厚みや形状。ずっと持っていたくなるような、落ち着いているが野暮ったくもないデザインといったことを考え試作を重ねました。

 

ペンの出し入れは、最初はキャップの締まりがしっかりしているものでも、キャップだけ取れてしまったり、硬い感じがしたりするかもしれませんが、次第に馴染んでいきます。

キャラペイス製品は、ボンドを使用していません

2021年末頃までは、縫い糸の最後のほつれ止めにほんの少量使用していましたが、耐久性などの検証の結果、使用をやめました。現在、キャラペイスの製品にはボンドを一切使っていません。これによって縫い糸が切れた際もボンド部分の取り外しのための革への影響がなくなり、修理がしやすくなっています。

キャップの形に合わせて選ぶ二種類の形状

キャップのクリップ位置に合わせて2種類の形から選ぶことができます。浅めの切り口のものは、クリップの付いた位置から頭のあまり出ていないタイプのペンに、切り口深めのものは、頭の大きめのタイプのペン用になっています。

 

迷った時は工房に来ていただくと、実物を確認していただけます。

切り口を選ぶための参考サイズ

切り口浅め

キャップの頭からクリップの付け根までの長さが1㎝程度までの場合は、「切り口浅め」でペンの頭が飛び出ることなく使用できます。

 

 

写真に掲載している万年筆はペリカン「スーベレーン」のおそらくⅯ800です(購入時の情報がないのですが、大きさ的にそうだと思います)。

キャップを閉めた収納時の全長が約14.3㎝程度です。

 

「スーベレーン」シリーズではこれより大きいものは全体のサイズとして入りません。

 

切り口深め

キャップの頭からクリップの付け根までの長さが1㎝~2㎝程度まで場合は、「切り口深め」をおすすめします。

付け根までの長さが長め(1.5㎝を超える程度)のものは、右側寄りの切り込みが深い部分にクリップを挟んで使う形になります。

 

 

 

写真掲載のものはWATERMAN製。型番等は不明です。

キャップを閉めた収納時の全長が約14.3㎝程度です。

 

この万年筆だと、クリップ部分を正面真ん中あたりに挟んでちょうどよく収納できます。

 

<万年筆ホルダー>紹介動画一覧



万年筆ホルダー 詳細

 価格 3,000円(税込み)

※切り口浅め・深めともに同じ価格です。

サイズ

本体サイズ 約15.5cm×3.4cm

【使用可能な万年筆のサイズ】

長さ(キャップをつけた収納時) 最大14.5㎝程度まで

太さ(キャップなどの一番太いところ) 最大直径1.5㎝程度まで

 

素材

牛革、麻糸


販売方法

在庫がある場合はご注文・ご入金後すぐに発送します。

在庫切れの場合は、ご注文を受けてから製作します。注文状況にもよりますが発送までに4-6週間ほどかかることもあります。