知っておいてほしいこと。

もともと生き物だった牛革、人工物にはない不均一さがあります。

私たちは牛革を半裁という大きさで仕入れ、

そこから商品を作っていきます。

 

半裁というのは、牛の皮を頭からおしりに向かって背骨のところで切った

ちょうど1頭の半分の大きさで、牛を横から見た側面といえばイメージできるでしょうか。

首、おしり、お腹と、牛の形がしっかり残っています。

ハギレではなく半裁の牛革を初めて見たとき、

革って牛なんだ、生き物なんだということが腑に落ちました。

 

こんな大きな動物が生きていたんだから、

怪我をするのはあたりまえ。

その跡が残っているのもあたりまえ。

私は見たことがありませんが

アトピーにかかってその跡がのこることがあるそうです。

鞣(なめ)されてできあがった革にもそのまま傷は残ります。

最初、私はキズの部分を使うことをためらう気持ちがありました。

きれいなもの、キズがないもの、均一なものを

商品として提供すべきだと思っていました。

でも、生き物だと思ったら均一なものを求めることの

不自然さの方が鼻についてきました。

 

多少のキズは強度に影響はありません。

そもそもCARAPACEの商品はキズを付けないように注意しながら、

恐る恐る使って欲しいものではありません。

わたしたちの作る商品は買ったときからキズやシワが入っていたりします。

キズ・シワよりもわたしたちが気にかけているのは、革の性質です。

 

例えば、背中の部分の革は繊維が詰まっていて伸びにくい。

腹の革は繊維の絡み具合が緩く、伸びやすい。

大きな力のかかるベルトなどは背中の革を引張に強い方向に断裁、

ショルダーの中敷きやコーナーのカバーなどは腹の革を使用という具合に性質によって使い分けています。

 

キズやシワは具体的にどんな感じなかのと思われるかもしれません。

そこで、よく見られる革の不均一さ、製作の過程で残ってしまう革への跡など、

知っておいてほしいことをまとめました。

 



ヌメ革のキズ

ヌメ革は染色や表面加工をしていないのでキズがしっかりと見えます。

ヌメ革のシワ

シワがあることがあります。


革の部分で色味の違い

一つの製品でも革の部位により、多少色が異なります。また、制作の過程で若干の焼けがある場合があります。

革の独特のにおい

鞣しの過程で使われた薬品の匂いがあります。使ううちに薄くなります。


革の毛羽立ち

革は裏を貼らずに仕上げています。裏面(床面)は使用していると革の繊維が毛羽立ってくることがあります。

革に残るリベット打ちの跡

リベット打ち付けの跡は、リベット取付部周辺にほぼ必ず残っています。


使いはじめの革の硬さ

最初のうちは硬く、使っていくうちに柔らかくなります。スリッパは1日履くと随分変化します。気になるときは革を手で揉むなどすると使いやすくなります。

カッパーリベットの緑青

銅製のため緑青が出ますが、毒性はありません。気になるようでしたら布などで拭いてください。


革・帆布からの色移り

革・帆布は色移りの可能性があります。強い摩擦、水濡れにご注意ください。